「クライマーズ・ハイ」 横山秀夫著

先々週、月曜ミステリードラマでやっていた『囚人のジレンマ』の原作者、横山秀夫氏の本の中で、私が一番好きな本です。

横山氏は元上毛新聞の記者をやっていた経験から、警察を舞台とした小説が多いのですが、この「クライマーズ・ハイ」は、氏の経験を十分に取り入れたミステリーというより、ノンフィクションに近い小説です。

18年前の御巣鷹山への日航機墜落事故、この事故の担当デスクを任された主人公。この主人公が亡くなった山好きの友人の息子と山に登る現実、回想で御巣鷹山の事故の時の事を思い出す。社内の派閥抗争・友人の謎の死の真相・墜落事故のスクープの取り合い。これらが見事にリンクされて、読んでるものをドンドン引き込んでいく。
クライマーズ・ハイ」というのは登山者が困難な山に登っている最中に、ハイ状態になる。それが覚めるととたんに一歩も動けなくなってしまう事だそうです。
読んでるものが一緒にハイになっていき、覚めたとき・・・。

私は涙を流していました。

日航機墜落事故の悲惨さを書いたのではなく、それを取材する新聞記者の男を描いた本です。かなり泥臭い男の話です。
長編で本の分厚さをみるとゲンナリしそうですが、読むと一気に止まらなくなってしまいます!!